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会長からのメッセージ(6)
威厳と歴史、そして保続
 平成26年6月8日午前10時55分、本会総裁桂宮宜仁親王殿下が入院先の東京大学医学部付属病院で66歳の若さで薨去されました。殿下は、6年前に敗血症を患って以来、ご静養かたがた時折通院し体力回復につとめられてきましたが、先日急変し帰らぬ人となられました。ここに、謹んで哀悼の意を表します。
 殿下には、昭和62年1月、当時の本会総裁高松宮宣仁親王殿下の後継として本会総裁に就任されて以来、27年の長きにわたって、本会の全国林業経営推奨行事をはじめとする行事にご指導ご鞭撻を賜って参りました。平成19年までは、表彰式典に毎回ご臨席を仰ぎ、受賞者の方々は、殿下とのお話し合いを楽しみにされておりました。今でも、殿下が田中宮務官と一緒に受賞者とにこやかに歓談されている姿が目に浮かびます。十数年前には、たまたま体調不良でご臨席になれない時に、受賞者の方々が邸内に招待されたことがあります。逆に、多摩の森林園にお出ましになられ、桜を愛でられたこともありました。また、時々、暮れに高輪のプリンスホテルで開催されたお茶会には役員・職員全員が招かれ、殿下と共に楽しいひとときを過ごすという栄に浴しています。さらに、本会は、昭和62年に当時三笠宮親王殿下であった宮様が桂宮家を創設された際に邸内に桂の木を献呈・植栽するという僥倖に恵まれています。これからもこれらの数々のご恩に感謝しながら桂の木の成長を見守って行きたいと思います。
 さて、大日本山林会は、明治15年1月に創立されて以来、伏見宮親王殿下、梨本宮王殿下、高松宮親王殿下、桂宮親王殿下を総裁として仰ぎ、国家や国民に資するために、130年以上にわたって、林業の発展や森林の育成に関わる啓蒙普及活動に専念してきました。俗に、林業は100年の計と言われますが、そのような息の長い事業を支援していくためには、宮家に象徴されるような威厳と歴史に支えられた理念が不可欠であります。その一例が、森林の「保続」という理念です。その意味で、戦前の御料林が、皇室財産である森林の保続を理念に掲げて保続経営を実践してきたことは特筆に値すると思います。
 次に威厳と歴史、保続に関連してもう一つ。昨年、伊勢神宮で第62回の式年遷宮行事が行われました。この1300年以上にわたって続いている行事は、まさしく、私たちに威厳と歴史を感じさせるわが国の最大行事の一つです。神宮の森:宮域林の組織的植林が始まったのは明治中期ですが、戦後の一時期(昭和27年から)、本会は会員の奉仕活動による植林を進め、宮域林のほんの一部分、約500haのヒノキ林の造成に貢献致しました。
 ところで、一体、20年ごとの遷宮は何の目的で、あるいは何を継承するために行われているのでしょうか。たとえば、神の生命力を蘇らせるため、神道の威厳を示すため、あるいは弥生建築技術を継承するためなどと、色々な目的もしくは理由が考えられます。また別の見方をすれば、短期循環(20年回転)木材利用が、宮域林の長期循環(数百年単位の回転)森林経営を支えているとも考えられます。しかし私には、より大げさに言えば、遷宮行事が、縄文時代以来脈々と流れているわが国の循環型社会の真髄を形(かたち)として象徴的に表現しているように思います。いずれにせよ、木材のカスケード利用や森林の循環的管理の淵源もしくは原型として、これからも永遠に遷宮行事が継承されていくことを念願したいものです。
 最後に一言。本会も公益法人として、自身の歴史を大切にしながら、より広い世界にむかって少しでも威厳のある保続経営を展開していく所存です。会員諸兄及び皆様の御支援のほどよろしくお願い致します。


2014年6月   箕輪 光博


受賞者と歓談される殿下
(全国林業経営推奨行事賞状伝達贈呈式)



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(10)退任のご挨拶
(9)新年のご挨拶
(8)秋の夜長
(7)マイナス×マイナスはプラス?
(5)新年のご挨拶
(4)これからの2年間よろしく
(3)新年のご挨拶
(2)開かれた山林会への第一歩
(1)会長就任にあたって

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