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会長からのメッセージ(12)
熊剥ぎ被害をテープ巻きで予防
 大日本山林会は5カ所216haの所有林地で森林経営を行っています。これは先人達が山林会の資産として後世に残そうと紀元2600年、創立75周年などを機に、寄付や購入によって得た林地に記念植林を行い増やしてきたものです。私共は常に維持管理に心がけ、一部は地元林業後継者の研修の場に提供しています。
 実際には地元の方に見回りを委託し、必要に応じ現地で施業の指示をしています。例として京都山林をとりあげてみます。
 京都山林は昭和15年に2600年記念として購入したものです。所在地は京都市北区真弓善福、約21haの一団地です。当初は沢を挟んで両側にスギを中心に3.7haの造林を行いましたが、その後暫くは放置されたままでした。昭和40、41年にそれを取り囲むように約10haのスギ、ヒノキ造林と、さらに外縁の尾根筋にマツの天然更新が行われました。昭和50年代以降は頻繁に除間伐が行われています。
 今年7月22日、この京都山林に出かけました。例年にない暑さのなか、外を歩くとクラクラしましたたが、林に入るとさすがにひんやりしました。昨年から始めた、昭和40年植栽のスギ・ヒノキ造林地の間伐の検分が主目的ですが、もう一つ私のひそかな狙いは平成9年(1997)に試みた熊剥ぎ被害予防に行った実験の結果をみることでした。
 熊被害をこうむったのは昭和15、16年(1940−1941)に植えられたスギ林の一部で、比較的緩傾斜のスギ適地です。当時の被害はほぼ1haの範囲にわたり、特に樹齢60年の大径木が集中的にやられているのは見るも無惨でした。激害木はすでに枯れ始めていました。そのまま帰るわけにもいきません。そのころ熊被害防除については京都大学芦生演習林がテ−プ巻きを報告していたので(森林防疫、1993)、これを一縷の頼りに粘着布、セロファン、ビニ−ル、ポリエチレンなどの各種のテ−プを事前に用意していったので、効果を疑いつつもそれぞれ10−15本あて巻き付けてきました。
 実験結果を見たいといったのはこのことです。林内を登りつめていくと、かなたに白いテ−プがはっきり見えました。各種テ−プのうち残っていたのは荷造り用のポリエチレンテ−プだけで、あとのテ−プはすべて陰も形も残っておりません。ポリテ−プは巻き方の如何にかかわらず原型のままであり、巻かれたスギはすべて無被害です。熊被害がもっとも激しかったのは10年ほどまえで、以降は軽くなってきましたが、それでも2、3年前の被害も散見されました。
 今回このようにポリエチレンテ−プ巻きの効果を自ら確認できたのは収穫でした。熊剥ぎ被害にたいしては、すべての木ではなく形質よい大径木を集中的にテ−プ巻きする方法をお薦めします。


                           2004年7月 小林富士雄


平成8年当時の被害(太い木が集中的にやられている)


今年の状況(8年前にしっかり巻いたテープ)


今年の状況(8年前ややゆるく巻いたテープ。これでも効果あり)


会長からのメッセージ  バックナンバー 
(1)会員あっての山林会
(2)木材輸入は水輸入
(3)これからの経営問題への取り組み
(4)現地研修会を顧みて
(5)大日本山林会第21回総会記念写真集
(6)木の神社
(7)岸本定吉先生を偲ぶ
(8)アメリカの森林問題と政治家と
(9)全国植樹祭と宮崎のスギ
(10)山林会平成16年度通常総会終わる
(11)ゆく半年、くる半年―山林会創立記念事業に思いを新たに―