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会長からのメッセージ(25)
不法伐採問題の一断面
 米国の代表的林業技術者団体であるアメリカ・フォレスター協会Society of American Forestersの月刊新聞The Forestry Sourceは米国のみならず世界の林業の最新情報を公平に伝え、私の愛読紙でもあります。これが今年の5月号にやや刺激的とも感じられる見出の記事をのせました。
 その見出は「不法伐採を可能にしているのはアメリカ、EU,日本だというレポート」というものです。
 この記事の書き出しは、玩具・家具・パネル・床材など溢れるほど輸入されているメイドインチャイナの木材製品の多くは、実は東南アジア、ロシアなどからの不法伐採材であると始まっています。Forest Trends(FT)の主筆A.ホワイトは「中国は2005年だけで1億3千万m3(丸太換算)以上を輸入し、その7割を家具、集成材、構造材、床材などに加工し輸出している」と述べています。
 このうち不法伐採の割合は不明だが,FTはロシア極東・南東地域の2/3、インドネシアの70%が不法伐採材であると考え、中国の輸入材の半分はロシアから、6%はインドネシアからであるとしているのです。かつて世銀の上級林業顧問だったM.ジェンキンスFT会長は、これは「中国ばかりでなく、次はインド、そしてインドネシア、ブラジルと続くだろう」と言っています。
 「しかし」とジェンキンスは続けて、中国は皆が言うように巨大真空掃除機ではなく、単に世界の木材商店woodshopに過ぎず、中国の木材産業を持続的産業たらしめるのは我々の責任であると主張します。「消費国は認証された合法材の製品のみを購入すればよい」として、中国も原料国の持続的林業に真剣に考え始めている例をあげ、消費国としての幾つかの方策を示しています。
 わが日本も、木材・木材製品輸入国として、不法伐採に由来する製品を使わない方策をたて、世論を喚起するキャンペーンをする時期に来ているのではないでしょうか。


2006年5月 小林 富士雄



Forest Trendsによると、最近の伐採率を続ければ、インドネシア・ミャンマー・パプアニューギニアでの利用可能な天然成熟林は10−16年で枯渇し、カンボディアでは4−9年で枯渇する。


Environmental Investigation Agency(註;世界的環境監視団体)によると、このメルバウ(註;テツボク一種)の丸太は2003年インドネシアでの不法伐採木である。



会長からのメッセージ  バックナンバー 
(1)会員あっての山林会
(2)木材輸入は水輸入
(3)これからの経営問題への取り組み
(4)現地研修会を顧みて
(5)大日本山林会第21回総会記念写真集
(6)木の神社
(7)岸本定吉先生を偲ぶ
(8)アメリカの森林問題と政治家と
(9)全国植樹祭と宮崎のスギ
(10)山林会平成16年度通常総会終わる
(11)ゆく半年、くる半年―山林会創立記念事業に思いを新たに―
(12)熊剥ぎ被害をテープ巻きで予防
(13)歴史に学ぶ
(14)北海道現地研修会を顧みて
(15)早生樹の話―その1 中国の暖帯系ポプラ―
(16)伊勢神宮新穀感謝祭に参加して
(17)津波と海岸林
(18)吉野林業見聞記
(19)旧閑谷学校の楷樹
(20)早生樹の話―その2 ベトナムのアカシア―
(21)観光資源としての木
(22)岡山・鳥取現地研修会
(23)森林総合研究所の百周年記念行事に参加して
(24)ネパールに思うこと