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会長からのメッセージ(33)
大日本山林会創立125周年
記念行事を終わって

 本年1月15日の創立125周年記念式典が終わり、また一連の記念行事にも区切りがついたので、ここに要約して紹介しておきます。

式典
 記念式典は来賓、役員、会員を含め百余名参加のもと、16時から行われました。
 私は会長として式辞を述べました。先ず山林会創立の趣旨は民間林業の振興にありという、明治15年の創立総会での品川弥二郎委員長の言を引き、長い間唯一の林業団体として歩んできた活動を顧み、最後に日本林業の歴史を刻む証人という自覚を新たにこれからの活動を続けたいと結びました。
 来賓祝辞の先頭をお願いしたのは新任間もない辻林野庁長官です。長官は、最近国外の木材需給がタイトになり、今こそ国産材の安定供給を図るシステムが必須であると説き、また国有林の独立法人化に触れ、ここ数年が極めて重要であることを述べられました。
 日本林業協会の塚本会長からは、山林会の活動として第一に『山林』誌を挙げ『山林』は日本の林業史にとって貴重な遺産であること、また全国植樹祭のルーツは、昭和9年に山林会が行った筑波山麓での愛林日記念植樹祭であることなど、過分のご挨拶を頂きました。
 農林水産奨励会の中須会長は、大日本農会、大日本水産会、当会の三会がほぼ同時期に創立されて以降協力しながら歩んできた兄弟であり、各会の基盤である農業・水産業・林業が手を携えて新しい時代をつくることを期待すると述べられました。
 次いで感謝状及び表彰状贈呈が行われました。
 先ず理事・副会長として当会運営に尽くされた手束平三郎、諸戸精文、由井直人の三氏、いずれも故人になられているので、ご親族に感謝状と記念品をお渡ししました。
 次いで感謝状贈呈は、古くからの当会会員で優れた林業家の代表として、林正夫(東京都)、丸山修(愛知県)、市川八十夫(群馬県)の三氏、山林会の各種事業の委員等で活躍された、吉田雅文、筒井迪夫、萩野敏雄、岡和夫の四氏、また『山林』誌関係として、林大九郎、紙野伸二、内山節、羽賀正雄、創文印刷鰍フ方々を対象に行われました。林、紙野両氏は20年余の長きに亘り編集委員として活躍され、内山、羽賀両氏は200回余の連載を執筆され、創文鰍ヘ印刷・製本に協力されたものです。
 最後に、10カ所の山林会保有林の現場管理を手伝ってもらっている東京都森林組合、王子木材緑化梶A鈴木市郎氏ほかに感謝状・記念品をお渡ししました。
 表彰は、当会長期勤務者として吉川比出夫参事に表彰状と金一封が授与されました。吉川参事は大学卒以降30年に亘り山林会の職務に精励されました。
 式典終了後祝賀会が盛大に行われました。松井光瑤名誉会長の乾杯で始まり大貫副会長の挨拶で午後7時に幕を閉じました。

シンポジウム
 式典に先立って、記念シンポジウムが石垣記念ホール一杯に埋める150余名が参加して行われました。
 シンポジウムテーマは「林業経営の将来を考える−団地法人化の可能性を探る−」です。山林会は昭和60年代から、時代に沿った日本林業の課題について研究会を組織し、その検討結果を今まで10册の『農林水産叢書』として報告してきました。
 そのご数年の研究会は水問題、高校林業教育問題に関わってきましたが、平成15年から再度、林業問題に立ち返り、「林業経営の将来を考える」という研究会を立ち上げて検討を続けてきました。
 先ずシンポジウムを司会する大貫副会長は、上記の経緯とともに、その検討結果が参加者全員に配布しているシンポジウムと同名の研究会報告書(『農林水産叢書No.51』)であることを説明しました。
 私の開会挨拶では、生産コストの削減に応えるとともに、原木の取り合など原木供給不安のなかで川下が要求する原木の安定供給に応え、最終的には山元へ利益を還元するのが、団地集団化や団地法人化の究極の目的であることを強調しました。
 話題提供は、藤澤秀夫氏(林政総合研究所)が「現在、日本林業が直面する林業問題と団地法人化」の題で、困難な林業経営の現状を説明し、これを打開する方法として団地法人の提案を行いました。餅田治之氏(筑波大学教授)は「林業における団地法人化の可能性」で、アメリカで林業が有利な投資対象として森林の売買が急速に進んでいる動きを紹介したあと、日本では団地法人化が必要であると訴えました。納口るり子氏(筑波大学助教授)は「日本における農業法人の特質と課題」と題し農業での色々な団地化の形を説明されました。
 コメンテーターとしてお願いしたのは、行政サイドから橋洋氏(林野庁経営課長)、現場サイドとして岸三郎兵衞氏(山形県金山町森林組合長)、研究サイドとして野田英志氏(森林総研林業経営・政策研究領域長)であり、それぞれの立場で団地化に前向きなコメントを頂きました。
 これらに対し、会場から内山右之助、筒井迪夫、速水亨、木村晴吉の4氏から意見が開陳されました。
 最後に大貫副会長が、このシンポジウム記録を『山林』に掲載するので参考にして頂きたい旨と謝辞を述べ、拍手裡に終わりました。

『昭和林業逸史』発行
 『昭和林業逸史』は、創立75年を機に山林会から発行した『明治林業逸史』に倣い125周年記念として発行したものです。82編、900頁の大冊の発行が1月15日の式典に間に合い展示されました。
 発行後まだ日も浅いのに、そのご大勢の方々からお褒めの言葉をいただきました。「歴史に残る名著」などという身に余る言葉もあり面映ゆい思いです。これからは先人達の労苦のあとを知って頂くべく、林業界以外の方々にも読んでもらうよう努めたいと思っています。

 『山林』分類総目録検索システム(25年分)CD
  及び林業文献センター文献収蔵文献検索システムCD作成

 平成2年に出版された『山林分類総目録』は、創立100年記念事業として、明治26年から昭和63年までの100年分の『山林』総記事を分類整理した大冊です。今回、その後の四半世紀分の記事をデータベース化し自由に検索できるシステムを構築し、これを125周年記念事業としてCD-ROMに収録しました。
 また、本会付属の林業文献センター収蔵文献は長い間カード検索によっていましたが、ここ数年電子情報への切り替えを進めてきました。このうち書籍類についてこの作業がほぼ終了したので、125周年記念事業として、約25,000の収録文献に検索ソフトを付けたCD-ROMを作成しました。
 以上の2つは一本のCDに収め希望者に無償で配布することにしました。ご希望の方は大日本山林会にお申し出下さい。

シンボルマークの設定
 山林会にはシンボルマークとして明瞭に規定されものはありませんでした。ただ明治32年「大日本山林会章票規定」に規定された会員章・有功章に付ける図柄があり、この図柄は第二次大戦前まで功績者表彰に用いられてきましたが、戦後は殆ど用いられることがなくなりました。そのため12周年を機にはっきりしたシンボルマークを設定することにしました。
 このため戦前までの会員章マークを土台にし、山型と樹木(針葉樹と広葉樹)の2要素を生かして山林を表現するようデザイン専門家に依頼し、作られた数種の図案のなかから選び設定をみたものです。山林会のシンボルマークとして会員の皆さんに親しんで下さるようお願いします。


2007年2月 小林 富士雄




式典で式辞を述べる会長



感謝状贈呈
林正夫氏



表彰状贈呈
吉川比出夫氏




感謝状贈呈
林大九郎氏
記念シンポジウム       記念シンポジウムの話題提供者
      壇上 藤沢氏
      手前 左から餅田氏、納口氏



          祝賀会閉会の挨拶をする大貫副会長


祝賀会で乾杯する松井名誉会長


『昭和林業逸史』 「山林」分類総目録・
林業文献センター収蔵
文献のCD-ROM


設定された
大日本山林会
シンボルマーク




会長からのメッセージ  バックナンバー 
(1)会員あっての山林会
(2)木材輸入は水輸入
(3)これからの経営問題への取り組み
(4)現地研修会を顧みて
(5)大日本山林会第21回総会記念写真集
(6)木の神社
(7)岸本定吉先生を偲ぶ
(8)アメリカの森林問題と政治家と
(9)全国植樹祭と宮崎のスギ
(10)山林会平成16年度通常総会終わる
(11)ゆく半年、くる半年―山林会創立記念事業に思いを新たに―
(12)熊剥ぎ被害をテープ巻きで予防
(13)歴史に学ぶ
(14)北海道現地研修会を顧みて
(15)早生樹の話―その1 中国の暖帯系ポプラ―
(16)伊勢神宮新穀感謝祭に参加して
(17)津波と海岸林
(18)吉野林業見聞記
(19)旧閑谷学校の楷樹
(20)早生樹の話―その2 ベトナムのアカシア―
(21)観光資源としての木
(22)岡山・鳥取現地研修会
(23)森林総合研究所の百周年記念行事に参加して
(24)ネパールに思うこと
(25)不法伐採問題の一断面
(26)西夏王国のこと
(27)台湾現地研修旅行へのご案内―その1 阿里山―
(28)台湾現地研修旅行へのご案内―その2 太平山、棲蘭、明池―
(29)幸田文さんのこと
(30)マヤ遺跡ティカルに思う―その発見の歴史―
(31)再び林業経営について
(32)御神渡り