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会長からのメッセージ(8)
アメリカの森林問題と政治家と
 私はだいぶ前からSAF(米国フォレスタ−協会)の会員になっています。SAF(Society of American Foresters)は1900年の創設で、現在2万人のフォレスタ−を擁するプロの協会です。世界中で広く読まれているジャ−ナル・オブ・フォレストリ−などの発行で知られているばかりでなく、大学の林学教育の教科の認可をしたり、林政上の提案を行うなど大きな影響力をもっています。
 会員といっても私は単なる購読会員ですが、ジャ−ナルからは随分得るものがありました。たとえば、以前から私の関心事であった職業倫理については、これを犯すものは内部で裁かれるとういうほど厳しいSAF倫理規範(Code of Ethics)を定めている(拙著:フォレスタ−の職業倫理、林業技術1997.8参照)とか、最近号で各種の森林認証の比較のため現地調査を特集するなど、フォレスタ−にとって学会誌とひと味違う編集です。
 ジャ−ナルのほか、会員むけの最新情報がメールで頻繁に流され、また毎月10枚程度の新聞が送られてきます。この新聞(The Frestry Source)の第一面は通常米国の森林林業をめぐる政策・政治の記事で飾られています。興味をひくのは、その記事には頻繁に大統領が登場することです。大統領でない場合でも有力上院議員か森林局長官が紙面を飾ります。
 最近の話題では「健全森林回復法案」(Healthy Forest Restoration Act)の成立を訴えるブッシュ大統領のキャンペ−ンが目立ちました。この法案は近年拡大した山火事から守ろうというものであるが、その主要な手段として間伐をあげています。森林が放置されたため増加している燃焼物を減らそうというもので、深刻な山火事が想定される森林に年間7.6億ドル(800億円)を間伐に使うとしています。これに対し環境保護派は間伐に名を借りた過伐であるとして反対しています。ブッシュ大統領やボスワ−ス長官は法案成立のため各地を遊説している記事が何回も載りました。米国では森林問題は政治家にとっても重大案件であることがよくわかります。ここに新聞にのった写真を紹介します。


                        2004年3月 小林富士雄






「健全森林回復法」の署名式典に臨み、消防・森林関係職員を背に演説するブッシュ大統領。大統領はこの法律は”米国の森林にとって重要な前進である”と言明した。





米国農務省森林局D.ボスワ−ス長官は、わが森林局は老齢林の間伐コストを捻出するために大木を伐採販売するような計画は一切もっていないと言った(注:これは環境保護派むけの言明)。

会長からのメッセージ  バックナンバー 
(1)会員あっての山林会
(2)木材輸入は水輸入
(3)これからの経営問題への取り組み
(4)現地研修会を顧みて
(5)大日本山林会第21回総会記念写真集
(6)木の神社
(7)岸本定吉先生を偲ぶ