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会長からのメッセージ(4)
平成19年度現地研修会報告(2)
(第1日目:10月24日(水))

 集合時刻には全員が揃い、さすが南国といった暑いくらいの快晴の中、一同、小型バスに乗り込み、予定より早めに高知空港を出発した。高知大学の川田先生、会員26名(栃木、群馬、茨城、東京、静岡、三重、京都、兵庫、鳥取、岡山、愛媛)、山林会5名の総勢32名で、いよいよ研修旅行がはじまった。
 車内では、会長から参加のお礼、研修の目的・意義・期待、研修会の歴史等を含んだ挨拶や事務局からスケジュール等の説明が行われ、間もなく、昼食のため、海辺のオアシス・道の駅「やす」(香南市、ヤ・シィパーク内)に立ち寄る。このヤ・シィパークは県が整備した面積5.5haの人工海水浴場(2004年6月にオープン)で、遊泳期間が9月上旬までというのが自慢とか。ビーチハウス、芝生広場、椰子の木、モクマオウが目立ちましたが、一本一本の椰子の木に四方向に支え綱が張られていたのには驚きました。土佐くろしお鉄道「ごめん・なはり線」の夜須駅の目の前にあります。
 昼食を済ませてから一路国道55号線を太平洋を右に見ながら東進しました。道中は参加者の自己紹介等で賑やかでした。また、川田先生から高知県の森林・林業・林産業のこと、道中の風物のことなどいろいろと教えていただきました。安田町から県道12号線へ左折し、海岸線から安田川沿いを上流へと山深い谷道をくねくねと進すすむこと約30分程で、馬路村へ到着。馬路村に近づくにつれ、道路沿いや川沿いの平地部に色づき始めた実をたわわにつけた柚の木が目立つようになりました。やっとたどり着いた狭い谷間の馬路の村落は他ではない活気が感じられました。
 バスは柚子の加工工場を左手に見ながら上流に進み、馬路村役場で産業建設課の高橋宏明氏をピックアップして、最初の見学場所である「(株)エコアス馬路村」本社に到着、「エコアス」とは、「明日はきっとエコロジー」との意だとのこと。
 総務企画課主任・山田佳行氏が出迎えてくれ、会社の概要の説明を受けました。その後、同課の上治純平氏の案内で当社の目玉商品である「Monacca(モナッカ)」の製造ラインを見学しました。国有林の経営改善によって村内に2つあった営林署が廃止されるという時代背景の中で、もう一度、馬路村の山を元気にしたいとして新しい取り組み「森の仕事丸ごと販売計画(平成11年度開始)」、即ち「森を育てる」「森を集める」「森を加工する」「森を売る」という4つの仕事を村内で一貫したシステムとするその事業の中核として設立された会社とのことです。次に、馬路林材加工協同組合の貯木場に集材された丸太の皮剥ぎ行程、製材・乾燥・強度測定・モルダー加工の一貫工程について専務理事の清岡哲也さんの案内で見学しました。両者とも製品の販路拡大に努力されているものの難儀しているとのことでした。
 予定より早めに、その晩の宿である「コミュニティセンターうまじ(馬路温泉)」に投宿。早速、恒例の勉強会を同センターの会議室で開催しました。
 話題提供1. 四国森林管理局の概要について(指導普及課長多田弘之氏)
 話題提供2. (株)エコアス馬路村の経営概要(総務企画課主任・山田佳行氏)
 話題提供3. 馬路林材加工協同組合の経営概要(専務理事・清岡哲也氏)
 話題1.については、@公益的機能を重視した森林づくりの取り組み、A「国民の森林」に向けた取り組み、B国有林管理の状況について資料に基づき説明があり、特に、@の「木材利用の推進を目的とした森林環境教育」についての取り組みについて具体的な説明を受けました。森林教室、体験林業、木工教室、観察会等の取り組みにはマンネリ化をどう排除するかが課題だそうです。
 話題2.と3.については、お二人の話題提供の前座として、ご多忙の中わざわざご出席頂いた馬路村村長の上治堂司氏から馬路村の振興策と上記両経営体の位置づけについて説明がありました。振興策では、柚子の生産から加工・販売までを実施し年間33億円以上も売り上げを伸ばせるようになったこと、しかし、森林率96%(うち国有林75%)、民有林の人工林率86%の森林資源を活用する森林関連産業の振興がなければ村の将来が見えてこないこと、そのため上記の「森の仕事丸ごと販売計画」に取り組んでいるとの説明がありました。村の活性化の一貫として、交流人口拡大に向けた取り組み(特別村民制、馬路村応援団、観光人口(修学旅行の受け入れ等)、商品購入者リスト)が成果を挙げてきているとの説明もありました。国道、鉄道、信号、高校、学習塾、コンビニもない人口1,200人弱の小さな山村の村づくりについての村長さんの情熱には参加者一同を感激させました。
 話題2.については、社員の平均年齢が40歳であるとのこと、また、村外での営業活動に力を入れていること、イタリア・ミラノ、ブラジル・リオ、欧州パリやチューリッヒ等、海外への販路拡大にも努力されていることを伺いました。話題3.では、組合の設立以降の事業経緯、木材の製材加工、人工乾燥・モルダー加工等、付加価値製品の生産・販売の現状や製品の品質管理の重点化、施主への村長からの感謝状贈呈による個別住宅販売の促進策などの説明を受けました。その後、活発な意見交換がありました。参加者から製品のMonaccaBag-kaku-shouの値段(23,100円〜25,200円)が高いのでは?との質問に対して、村長さんは、「森から生まれた他にはない商品である。林業人は自ら価格競争に持ち込んで安くしてしまう。この値段で売れるところを探して売り込むという努力が先ず必要で、OnlyOneであるという発想が大切である。」との回答、また、「孫達は将来ここに残るだろうか?」との問いかけに対して、「孫の教育の仕方によって将来が決まる。夢を見ながら一緒にいられる方法を考えていくことが大切である。森は地域の大切な資源であり、子孫が喜ぶようにする努力・工夫をいま我々がやらねばならない。いま村は柚子で飛び上がっている。このまま飛び続けることも一つの選択であるが、森林資源は将来の村にとって大切なものである。いま森の方へ舵をきると雲の中で失速してしまう状況、村民には村長の道楽だと諫められているが、将来のための森林資源の活用に希望を切り開いていきたい。」との意気込みが村長さんから示されました。勉強会の余韻は、後の夕食会にも持ち越され、大変楽しい第一夜となりました。就寝前に「うまじ温泉」(含食塩、重曹泉)を楽しみ、お肌ツルツル、気分ウキウキで眠りにつきました。


2008年1月 大貫 仁人



道の駅「やす」


(株)エコアス馬路村


エコアス馬路村の作業風景


馬路林材加工協同組合にて
清岡専務の説明を受ける



四国森林管理局多田指導普及課長
による話題提供


エコアス馬路村の山田氏による話題提供


馬路温泉での食事風景



会長からのメッセージ  バックナンバー 
(1)ご挨拶
(2)水のかたち
(3)平成19年度現地研修会報告(1)
(5)平成19年度現地研修会報告(3)
(6)平成19年度現地研修会報告(4)
(7)平成19年度伊勢神宮新穀感謝祭に参加して
(8)林業用ニューマシン
(9)松野はざまと大日本山林会
(10)長伐期林業と外山三郎先生
(11)平成20年度現地研修会報告(1)
(12)平成20年度現地研修会報告(2)
(13)平成20年度現地研修会報告(3)
(14)平成20年度現地研修会報告(4)
(15)平成20年度現地研修会報告(5)
(16)平成20年度現地研修会報告(6)
(17)『明治林業逸史』の復刻版刊行について
(18)当会の「新公益法人制度」への対応について
(19)平成21年度現地研修会報告(1)
(20)平成21年度現地研修会報告(2)
(21)平成21年度現地研修会報告(3)
(22)平成21年度現地研修会報告(4)
(23)平成21年度現地研修会報告(5)
(24)平成21年度現地研修会報告(6)
(25)「林業経営『創意工夫』表彰行事」のスタートにあたり
(26)「公益社団法人大日本山林会」への移行登記完了
(27)「公益社団法人・大日本山林会」の設立総会と第一回参与会議報告
(28)平成22年度「林業経営“創意工夫”賞」決まる
(29)平成23年度参与会議と役員改選(山林会を辞するにあたって)

バックナンバー(前会長)