林業用ニューマシン

2008年1月21日
大貫 仁人

 昨年末(12月19日)に、森林利用学会・素材生産技術セミナーに参加する機会に恵まれました。当会の『山林』誌の編集委員の一人、東京大学森林利用学研究室の仁多見俊夫准教授からのお誘いを受けたからです。森林バイオマス事業を積極的に展開している(『山林』No.1480、2007参照)埼玉県秩父市のスギ林の間伐の現場での現地検討会でした。秩父市役所での概要説明会では、先ず、森林バイオマス事業の推進者である栗原秩父市長から林業関係の研究会を積極的に開催し秩父から情報発信をしていきたいとの挨拶がありました。栗原市長さんはじめ関係者の方々も現場に同行され熱心に視察されていました。
 「ロングリーチアーム車両による木材収穫作業システム検討」がこのセミナーのテーマで、丸順重工(株)のスーパーロングリーチマン(SuperLongReachman, SLR1851-1)と新キャタピラー三菱のロングリーチハーベスタ(テレスコピックアーム仕様ハーベスタ)の実演が行われました。それぞれのセールスポイントは次の通りでした。

  1. スーパーロングリーチマン(SLR1851-1)(定価:2,600万円)
    1. ロングリーチによる集材作業
      • 世界一のロングブームで水平18.5m、山側・谷側20mを実現
      • 驚異の引き込み力、3t
      • 広い作業範囲
      • 納得いく伸縮スピード
      • 手元におけるグラップル作業も確実にこなす
    2. ワイヤーを活用した作業範囲の拡大
      • アーム先端にワイヤーを装着可能
    3. 安全作業
      • 懸かり木処理が安全・確実に所要時間約15秒で可能
  2. ロングリーチハーベスタ(LRHv)(定価:3,600万円)
    1. 伸びるアームで効率の良い作業(最大作業範囲10m/12m)
      (立木伐倒、枝払い、玉切り作業)
    2. スピーディーで正確な伐倒
      (シリンダの改良によりソーバルブの動きが速くなり切断がスピーディーに。送材力・スピードが大幅アップ、長さ計測精度アップ)
    3. 斜め切り防止
    4. 木材のダメージ減少
    5. 優れた操作機能

それぞれの実演で、性能アップの実態を見学することができました。SLRのロングアームの威力、また、伸縮速度の速さに驚きました。作業効率は長さの二乗となるとのことでした。また、LRHvは立木を掴んでから伐倒、枝払い、玉切りまでの時間が30秒以内という早さ、作業の確実性やロングアーム10mの威力を見学することができました。
 仁多見先生の話によりますと、LRHv(伐倒・造材)、人力(支援)伐倒、SLRでの木寄せ、フォワーダ集材を組み合わせれば、18m3/人・日のシステム作業生産性は可能とのことでした。
 低コスト伐木造材システムの構築へ向けた技術開発が確実に成果を挙げているとの実感を持つことができた一日でした。

2008年1月 大貫 仁人

  • 仁多見准教授の概要説明
    仁多見准教授の概要説明
  • スーパーロングリーチマン(SLR1851)
    スーパーロングリーチマン(SLR1851)
  • SLR1851とロングブーム
    SLR1851とロングブーム
  • ロングリーチハーベスタ(LRHv)
    ロングリーチハーベスタ(LRHv)