2005年8月3日
小林 富士雄
これは、会長からのメッセージで述べた「中国の暖帯系ポプラ」に続く早生樹の話題です。今回早生樹のことを書く気になったキッカケは、先月「森林共生フォーラム」研究会のご依頼で「早生樹の資源と利用」の話をしたからです。(社)全国森林リクレーション協会にあるフォーラム事務局から、どんな話題でも可というので、果たして皆さんのお役に立つかどうかと危惧しつつ、手許にある資料を使って気楽に話をさせてもらいました。
その時の話の内容は、(1)早生樹とは(2)早生樹協議会(3)主要早生樹(4)年間平均生長量(MAI)(5)早生樹造林(6)加工利用適性(7)今後の7項目です。
このなかで私が強調したかったのは、各国がここ10数年来研究に力を注ぎ格段の技術進歩を遂げている早生樹林業について、一部の人を除き我が国の関係者の理解が一般に薄く、このままでは世界の林業林産業の大勢から取り残される危惧があるということです。そのため、これからは産官学あげて早生樹の資源・造林や加工利用の情報収集に努める必要があることも強調しました。研究会あとの懇親会では数人の参加者から熱心な反応を頂き、多少のお役に立ったかなと安堵しました。
さて今回の「メッセージ」では、ベトナムでの見聞の一部を写真でご覧にいれます。
ベトナムの森林はベトナム戦争で失った天然林に代わり早生樹の造林を急速に進めています。最初はユーカリ主体でしたが、次第にアカシアに代わっています。マンギウムAcasia manngium、アウリカリフォルミスAcasia auriculiformisの2種類ですが、最近それらの雑種であるハイブリッドアカシアが成長と形質ともに優れているため注目されています。ハイブリッドを含む優れた各種アカシアのクローンが選抜され、その採穂園が方々に造られています。アカシアについてはベトナム政府以外にも日本の企業も育種や造林に取り組んでいます。
2005年8月 小林 富士雄