2010年12月22日
大貫 仁人
前号「会長からのメッセージ」でお知らせ致しました標記の会合が全国からの会員の出席のもと盛会裏に終了致しました。
1.設立総会
先ず、会長から、10月1日付で、これまでの「社団法人」の解散登記と「公益社団法人・大日本山林会」の設立登記を完了し、この「設立総会」を開くことが出来たことへの会員各位の協力と支援に感謝する旨の挨拶を述べました。そして、今回の公益法人への移行は、当会創立から33年を経過した大正4年(1915年)4月に、会団の充実強化を図り、時勢の進展に対応するため「社団法人・大日本山林会」に改組(創立時の「官製団体」から「民間団体」へ脱皮)して以来、実に95年目の大きな組織変更であることを説明しました。新制度では、法人の内部統治(ガバナンス)に関する様々な事項が法律で定められていますが、基本的なことは、民間団体として「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与する」ための公益事業を公明正大に行っていくことが法律で義務づけられたこと、即ち、「法律に基づいた公益事業を推進する民間団体」となったことを強調しました。
今回の新たな公益社団法人への移行に伴い、公益に資する法人としての責任と自覚をもって、当会設立の趣旨であります「民間林業の振興に寄与する」という原点に立った活動を今後一層強化していくことへの支持と協力を訴えたところです。
総会ですが、①第1号議案「特例民法法人・大日本山林会(社団法人が「公益法人改革関連3法」の施行により自動的に移行したもの)の最終事業年度(平成22年4月1日~9月30日)の事業報告と決算・監査報告」、②第2号議案「新たな「公益法人」の初年度(平成22年10月1日~平成23年度3月31日)の事業計画と収支予算書」、この第1号議案と第2号議案を併せると、社団法人時代の5月の総会で承認された平成22年度の事業計画と予算にほとんど同じものとなっています。③第3号議案「公益社団法人への移行に関する件」(移行認定までの経緯と新たな公益法人の事業執行体制(総会、理事会、参与会議、常務役員会等の機関の構成)、および、法人の諸規定)の3つの議案について審議を行い、いずれも議案通り承認され、無事、総会を終了しました。
2.第1回参与会議
先ず会長から、この参与会議の役割は、定款第36条にある「地域における森林・林業の現状を踏まえ、この公益社団法人の運営全般について提言する」との趣旨に従って会議を進めていきたい旨挨拶し、民主党政権は、これまでの政策を抜本的に改革し、新たな理念・目標を掲げた「森林・林業再生プラン」を打ち出し、10年間で施業を集約化して間伐を中心とした森林整備と路網等基盤整備を鋭意進めようとしていることに触れ、しかし、民間林業の振興には、これ以上にまだまだ解決すべき課題が沢山残されているので、これからも地域や現場からの提言が大きな意味を持ってくるため、多くの参与の皆様から多くの発言を期待している旨お願いした。会議は、予めこの会議のために発言をお願いしていた3名の方から参与会議の趣旨に基づいた話題提供が行われた。その概要は以下の通りである。
Ⅰ 北海道の前田一歩園財団理事長の前田三郎参与から、前田一歩園の来歴と取り組んでいる目的事業である阿寒湖周辺林3,800haを対象とした自然環境の保全とその適正な利用に関する調査研究事業や自然保護思想の普及啓発事業の説明が為された。
Ⅱ 静岡県の伊藤信夫参与から、静岡県の林業の現状として、次の3点について説明があり、最後の(3)について皆で考えて欲しい旨要請があった。
- 静岡県が平成18年度から進めている「森づくり県民税」による「森の力再生事業」の取り組み、特に、行き過ぎた針葉樹人工林造成への対策としての広葉樹導入による混交林化の取り組みついての説明、
- 三遠南信250万流域都市圏の創造をテーマとする「三遠南信(東三河、遠州、南信州)トライアングル構想」について紹介し、その政策の基本方針である「中山間地域を活かす流域モデルの形成」についての取り組みの説明の中で、川上・川中・川下を流域単位で一元的にまとめ、個別林業から脱却した集団団地としての森林経営の必要性を力説。
- ①性格的に極めて異質な一次産業(農林業)と第二次産業(都市企業)を共存させる方策はどうすればよいか。
- ②これまで日本林業が材価の関係から伐期を延ばし、並材生産→中径材生産→大径材生産という成り行きに任せた森林育成をやってきたが、本来は、木材の需給関係から決まるべきものであり、路網整備とも関係するので、本来的な森林の育成のあり方は如何。
- ③田舎には高規格林道網で便利になると過疎化が加速するという不思議な現象があるが、過疎化する中央山岳地帯をどうすれば豊に、魅力的なものに出来るかの方策。
Ⅲ 京都府の草木紘司参与から、山村社会が甚だしく疲弊したという現実があり、生業としての林業も年々足腰が弱まっている中で「森林・林業再生プラン」が提示され、新しい林業機械の利用も進展しているが、地域に適合した機械化システムは、最終的には育林技術の再構築に係わることであり、課題が山積しているとの見解が示された。
さらに、国土の太宗を占める森林を預かる林業にとって、「環境」というオブラートに包まれて、森林・林業が呑み込まれつつあることが気がかりである。大学教育然り、小学校教育まで、森林・林業が忘れられつつあることは由々しき大事であるとの見解が示されました。そして、今回「公益法人」となった山林会が民有林業界の発展に寄与して欲しいとの期待が示されました。
この後、第2回以降の「参与会議」のあり方を含めての発言を求めたところ、栃木県の齊藤正参与から、①これまで以上に「林家」の立場に立った活動を続けて欲しい。②「山林」誌は難しい。もう少し分かり易い文言での記事にして頂きたい。旨の要望が出された。
会議の時間が総会の前の正味1時間という短時間であったため、これ以上の発言を求められず、下記の方針について合意を頂き、第1回参与会議を終了した。
- ①今回の参与会議で頂いた意見は、今後の山林会の活動に活かしていく。
- ②参与の皆さんからの山林会へ運営全般についての提言を随時歓迎する。
- ③参与会議の開催は、総会と時期を合わせる。
以上
第1回参与会議①
第1回参与会議②
平成22年12月 大貫仁人