2023年1月10日
第61回農林水産祭参加全国林業経営推奨行事賞状伝達贈呈式
総裁 秋篠宮皇嗣殿下のお言葉
令和4年11月10日(木)
お言葉を述べられる総裁 秋篠宮皇嗣殿下
本日、「第61回農林水産祭参加全国林業経営推奨行事」の賞状伝達贈呈式が、3年ぶりに全受賞者を迎えて開催され、皆様にお会いできましたことを、誠に嬉しく思います。そして、この度、各賞を受賞される皆様に心よりお慶びを申しあげます。
大日本山林会は、林業の改良ならびに進歩を目的として1882年に創立され、140年の長きにわたり、数々の事業を展開してまいりました。その中でも特筆すべき事績として、まず「愛林日行事」をあげることができます。これは1934年からの10年間、本会主導のもとに開催され、今日の「全国植樹祭」、そして「全国育樹祭」に引き継がれているものです。また、1952年から30年間にわたって行われた神宮の宮域林における「造林奉仕事業」では、総参加人員が1万人を超え、植栽面積550ha、植樹本数165万本に達しました。
さらに、本会の大切な事績として、設立時から継続している月刊誌『山林』の発行があります。本年11月で1662号となった『山林』には、本推奨行事で受賞された方々をはじめ、数多くの方々の林業活動や提言が掲載されており、その全ての記事を本会のホームページで読むことができます。時代を先取りする林業経営の紹介とともに、明治時代から蓄積されてきたアーカイブとして、本誌の重要性は今後ますます高まっていくものと考えます。
さて、1962年の第1回開催以来、今年で61回を数える本推奨行事は、大日本山林会最大の事業であり、わが国の林業の振興にさまざまな形で寄与してまいりました。その受賞者総数は2,325名に達しており、深い感慨を覚えます。
林業は森林の維持・培養を通じて、国土の保全や水源の涵養、木材の生産など、国民の生活や経済にとって大切な役割を果たしています。それとともに近年は、地球温暖化に関係しているCO2の吸収源や、生物の多様性を維持していく場としてなど、持続可能な森林管理への要請が世界的にも高まってきております。
現在のわが国の森林は、これまでの先人の努力により、戦後造成された人工林を中心に本格的な利活用期を迎えています。この国内の豊富な森林資源を循環的に利用し、森林と林業、そして木材産業を持続的に成長・発展させていくことが重要な課題となっており、「新たな森林経営管理制度」も導入されています。
このような状況のもと、本推奨行事が林業の振興に貢献するとともに、本会が、いま申しました森林・林業・木材産業の重要性を社会に積極的に発信していくことは、極めて大切なことでありましょう。
おわりに、本日表彰を受けられる方々をはじめ、日頃からそれぞれの地域において林業の再生や森づくりに力を尽くしておられる皆様に敬意を表するとともに、皆様の活動がさらに発展していかれることを祈念して、本式典に寄せる言葉といたします。