2023年11月15日
第62回農林水産祭参加全国林業経営推奨行事賞状伝達贈呈式
総裁 秋篠宮皇嗣殿下のお言葉
令和5年11月2日(木)
お言葉を述べられる総裁 秋篠宮皇嗣殿下
本日、「第62回農林水産祭参加全国林業経営推奨行事」の賞状伝達贈呈式が、受賞者と協賛者をはじめ、多くの関係の方々を迎え、コロナ禍前と同じ規模で開催することができましたことを、誠に嬉しく思います。この度、各賞を受賞される皆様に心よりお慶びを申し上げます。
大日本山林会は、林業の改良ならびに進歩を目的として1882年に創立され、長きにわたり、数々の事業を展開してまいりました。
中でも特筆すべき事績として、まず、「愛林日」行事をあげることができます。これは、1934年から10年間、本会主導のもとに開催され、今日の「全国植樹祭」、そして「全国育樹祭」に引き継がれているものです。今年は、その第1回が催された茨城県において「全国育樹祭」が開催されます。
また、本会の大切な事績として、設立時から継続している月刊誌「山林」の発行があります。本年10月で1673号となった「山林」には、本推奨行事で受賞された方々をはじめ、数多くの林業活動や提言が掲載されており、その全ての記事は本会のホームページで読むことができます。時代を先取りする林業経営の紹介の場として、また、明治時代から蓄積されてきたアーカイブとして、本誌の重要性は今後ますます高まっていくものと考えます。
さて、1962年の第1回開催以来、今年で62回を数える本推奨行事は、大日本山林会最大の事業であり、受賞者は2,353名に達し、深い感慨を覚えます。特に本年は、沖縄県から初めての受賞がありました。
また、毎年、受賞者の林業経営を視察する現地研修会が開催され、全国各地の特徴ある林業を学ぶ機会が設けられております。このように、本推奨行事はわが国の林業の振興にさまざまな形で寄与しております。
林業は森林の維持・培養を通じて、国土の保全や水源の涵養、木材の生産など、国民の生活や経済にとって大切な役割を果たしています。それとともに近年は、地球温暖化に関わるCO2の吸収源や、生物の多様性を維持する場としてなど、持続可能な森林管理への要請が世界的にも高まってきております。
現在のわが国の森林は、これまでの先人の努力により、戦後造林された人工林を中心に本格的な利活用期を迎えています。この国内の豊富な森林資源を循環的に活用し、森林と林業、そして木材産業を持続的に成長、そして発展させていくことが重要な課題となっており、「新たな森林経営管理制度」も導入されています。
このような状況のもと、本推奨行事が林業の振興に貢献するとともに、本会が、森林・林業・木材産業をはじめ、その幅広い重要性を社会に積極的に発信していくことは、極めて大切なことと申せましょう。
おわりに、本日、表彰を受けられる方々をはじめ、日頃からそれぞれの地域において林業の再生や森づくりに力を尽くしておられる皆さまに敬意を表するとともに、皆さまの活動がさらに発展していかれることを祈念し、本式典に寄せる言葉といたします。