2024年11月20日
第63回農林水産祭参加全国林業経営推奨行事賞状伝達贈呈式
総裁 秋篠宮皇嗣殿下のお言葉
令和6年11月7日(木)
お言葉を述べられる総裁 秋篠宮皇嗣殿下
本日、「第63回農林水産祭参加全国林業経営推奨行事」の賞状伝達贈呈式が、受賞者をはじめ、多くの協賛者および関係者を迎えて開催できましたことを、誠に嬉しく思います。
この度、各賞を受賞される皆様に心よりお慶びを申し上げます。
また本年は、今月23日に開催される農林水産祭において、本会推薦の中から天皇杯と日本農林漁業振興会会長賞が1件ずつ授与されます。対象となった方々に重ねてお祝い申し上げます。
大日本山林会は、林業の改良ならびに進歩を目的として1882年に創立され、長きにわたり、数々の事業を展開してまいりました。中でも特筆すべき事績として、「愛林日」行事をあげることができます。これは、1934年から10年間、本会主導のもとに開催されたものです。今日の「全国植樹祭」と「全国育樹祭」に引き継がれ、植樹と育樹の重要性を示すものとなりました。昨年は、その「愛林日」行事の初回が行われた茨城県において、全国育樹祭が開催されました。
また、本会の大切な事績として、設立時から継続している月刊誌『山林』の発行があります。本年10 月で1685号となった『山林』には、本推奨行事で受賞された方々をはじめ、数多くの林業活動や提言が掲載されております。時代を先取りする林業経営を紹介する場として、また、明治時代から蓄積されてきたアーカイブとして、本誌の重要性は今後ますます高まっていくものと考えます。
さて、1962年の第1回開催以来、今年で63回を数える本推奨行事は、大日本山林会最大の事業であり、受賞者は2,379名に達し、深い感慨を覚えます。また、毎年、受賞者の林業経営を視察する現地研修会が開催され、全国各地の特徴ある林業を学ぶ機会が設けられております。このように、本推奨行事はわが国の林業の振興にさまざまな形で寄与しております。
本年は、元日に能登半島地震が発生し、8月から9月にかけては停滞する台風や能登地域の大雨により、森林に多大な被害が発生し、林業も被害を受けました。本会の会員の中には、被災された方がおられると伺っております。ここに、お見舞いを申し上げます。
近年は、気候変動等に由来する気象の変化など、今までにない厳しい状況にあります。そのようななかにあって、林業は森林の維持・培養を通じて、国土の保全や水源の涵養、木材の生産など、国民の生活や経済にとって大切な役割を果たしています。また森林は、地球温暖化に関わる二酸化炭素の吸収源や、生物の多様性を維持する場でもあります。そのことからも、持続可能な森林管理への要請が世界的に高まってきております。
わが国の森林は、これまでの先人の努力により、戦後に造林された人工林を中心に本格的な利活用期を迎えています。この豊富な森林資源を循環的に活用し、森林と林業、そして木材産業を持続的に発展させていくことが重要な課題となっており、森林経営管理制度も導入されています。
このような状況のもと、本推奨行事を通じた林業の振興や、本会による森林・林業・木材産業についての情報発信は、極めて大切なことと申せましょう。
おわりに、本日表彰を受けられる方々をはじめ、日頃からそれぞれの地域において林業の再生や森づくりに力を尽くしておられる皆さまに敬意を表するとともに、皆さまの活動がさらに発展していかれることを祈念し、本式典に寄せる言葉といたします。